今回は塗布製剤に関する内容になります。

固形製剤(Solid Dosage Forms)

特徴

  • 固体の形状をしており、局所的な作用を目的とする
  • 皮膚や粘膜に貼付したり、こすりつけたりして使用
種類特徴・用途
パップ剤水分を含む貼付剤で、患部を冷却・消炎する冷湿布、温湿布
テープ剤粘着性があり、薬剤を徐放性に放出経皮吸収型鎮痛剤(フェントステープ)
パッチ剤皮膚から薬物を吸収させ、持続的に作用ニコチンパッチ、ホルモンパッチ
スティック剤直接皮膚に塗布できる固形状の製剤リップクリーム、制汗剤スティック
散剤(粉末剤)粉状の薬剤を皮膚や創傷部に塗布タルクパウダー、消炎粉末薬


液状製剤(Liquid Dosage Forms)

特徴

  • 浸透性や伸展性に優れる
  • すぐに広がるため、広範囲の皮膚疾患に適用しやすい
種類特徴・用途
ローション剤(外用液剤)水やアルコールを主成分とし、清涼感があるカルピスローション、ステロイドローション
スプレー剤噴霧して使用する液体製剤消毒用スプレー、ミスト化粧水
チンキ剤アルコールを含み、殺菌・消毒作用があるヨードチンキ
点眼剤目に直接滴下する無菌製剤ヒアルロン酸点眼液
点鼻剤鼻粘膜に噴霧して吸収されるインフルエンザワクチン点鼻薬
点耳剤耳内に滴下する抗生物質点耳薬


半固形製剤(Semisolid Dosage Forms)

▶ 特徴

  • 固形と液状の中間の性質を持ち、適度な粘度がある
  • 皮膚や粘膜に密着しやすく、薬物の持続性を高める
種類特徴・用途
軟膏剤油脂性の基剤を使用し、皮膚保護や保湿に優れる白色ワセリン、抗菌軟膏
クリーム剤乳剤性基剤を使用し、伸びがよく塗りやすいステロイドクリーム、保湿クリーム
ゲル剤高い水分含有量を持ち、べたつきが少ないヒアルロン酸ゲル、鎮痛ゲル
ペースト剤粉末を多く含み、吸収力が高い亜鉛華デンプンペースト
リニメント剤軽くすり込んで使う液状〜半固形の製剤消炎鎮痛リニメント
坐剤(外用)体温で溶け、粘膜から吸収される痔疾用坐剤


まとめ

形状特徴代表的な製剤
固形製剤皮膚に貼付、塗布するパップ剤、テープ剤、パッチ剤、スティック剤
液状製剤皮膚や粘膜に広がりやすいローション剤、スプレー剤、点眼剤
半固形製剤皮膚への密着性が高く、持続性がある軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤


演習

1. 塗布する製剤のうち、固形製剤に分類されるものはどれか。最も適切なものを選べ。

(a) 軟膏剤
(b) スプレー剤
(c) テープ剤
(d) ゲル剤

2. 液状製剤の特徴として正しいものはどれか。

(a) 皮膚への密着性が高く、持続性がある
(b) べたつきが少なく、塗りやすい
(c) すぐに広がりやすく、広範囲に適用しやすい
(d) 皮膚の水分蒸発を防ぎ、保湿作用が高い

3. 半固形製剤の中で、油脂性の基剤を主成分とし、皮膚の保護や保湿に優れるものはどれか。

(a) クリーム剤
(b) 軟膏剤
(c) ゲル剤
(d) ペースト剤

4. 次のうち、スプレー剤の特徴として適切でないものはどれか。

(a) 広範囲に均一に適用しやすい
(b) 液体成分が蒸発しやすいため、成分が速やかに浸透する
(c) 油脂性基剤を主成分とするため、保湿力が高い
(d) 抗菌薬や鎮痛剤の局所投与に用いられることがある

5. パッチ剤やテープ剤の特徴について、誤っているものはどれか。

(a) 長時間にわたって一定量の薬剤を放出できる
(b) 経皮吸収による全身作用を目的とすることがある
(c) 一般的にべたつきが少なく、使用感が良い
(d) 皮膚刺激が少なく、どの部位でも使用できる

6. 次のうち、液状製剤として適切でないものはどれか。

(a) 点眼剤
(b) 点鼻剤
(c) 坐剤
(d) チンキ剤

7. クリーム剤と軟膏剤の違いについて、正しい記述を選べ。

(a) 軟膏剤は親水性が高く、クリーム剤は親油性が高い
(b) クリーム剤は乳化性を持ち、伸びが良く塗りやすい
(c) 軟膏剤は水分を多く含み、使用後に簡単に洗い流せる
(d) クリーム剤は皮膚の水分蒸発を防ぐため、油脂性基剤のみで構成されている

8. ゲル剤の特徴として最も適切なものを選べ。

(a) 油脂性の基剤を使用し、皮膚の保護作用がある
(b) 水分を多く含み、べたつきが少なく、塗布後にさっぱりする
(c) 皮膚に密着しやすく、持続的に薬剤を放出する
(d) 固形であり、患部に貼付して使用する



(解答)

1. 塗布する製剤のうち、固形製剤に分類されるものはどれか。

(c) テープ剤
解説: 固形製剤には、パップ剤・テープ剤・パッチ剤・スティック剤・散剤 などが含まれる。軟膏剤(a)やゲル剤(d)は半固形製剤、スプレー剤(b)は液状製剤に分類される。


2. 液状製剤の特徴として正しいものはどれか。

(c) すぐに広がりやすく、広範囲に適用しやすい
解説: 液状製剤は、ローション剤・スプレー剤・チンキ剤・点眼剤・点鼻剤 などがあり、皮膚や粘膜に広がりやすいのが特徴。

  • (a) は半固形製剤の特徴。
  • (b) はゲル剤に近い特徴。
  • (d) は軟膏剤の特徴。

3. 半固形製剤の中で、油脂性の基剤を主成分とし、皮膚の保護や保湿に優れるものはどれか。

(b) 軟膏剤
解説: 軟膏剤は油脂性基剤(ワセリンなど)を主成分とし、皮膚の保護や保湿に優れる。

  • クリーム剤(a)は乳剤性で伸びが良い。
  • ゲル剤(c)は水分含有量が多く、さっぱりとした使用感
  • ペースト剤(d)は粉末成分を多く含み、吸収性が高い

4. 次のうち、スプレー剤の特徴として適切でないものはどれか。

(b) 液体成分が蒸発しやすいため、成分が速やかに浸透する
解説: スプレー剤は速乾性があるが、「薬剤の浸透」には関係しない。

  • (a) (d) はスプレー剤の特徴として適切。
  • (c) は軟膏剤やクリーム剤の特徴。

5. パッチ剤やテープ剤の特徴について、誤っているものはどれか。

(d) 皮膚刺激が少なく、どの部位でも使用できる
解説: パッチ剤・テープ剤は皮膚刺激を引き起こすことがあるため、「どの部位でも使用できる」とは限らない。

  • (a)(b)(c) は正しい記述。

6. 次のうち、液状製剤として適切でないものはどれか。

(c) 坐剤
解説: 坐剤は半固形製剤に分類され、体温で溶ける特性を持つ。

  • 点眼剤(a)、点鼻剤(b)、チンキ剤(d)は液状製剤。

7. クリーム剤と軟膏剤の違いについて、正しい記述を選べ。

(b) クリーム剤は乳化性を持ち、伸びが良く塗りやすい
解説:

  • クリーム剤は水分と油分を乳化した製剤で伸びが良い
  • 軟膏剤は親油性が高く、皮膚の保護や保湿に優れる
  • (a)(c)(d) はすべて誤り。

8. ゲル剤の特徴として最も適切なものを選べ。

(b) 水分を多く含み、べたつきが少なく、塗布後にさっぱりする
解説: ゲル剤は水分含有量が多く、清涼感があり、べたつきが少ない

(d) は固形製剤の特徴。

(a) は軟膏剤の特徴。

(c) はパッチ剤・テープ剤の特徴。




参考資料
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投稿者 takapi

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