今回は軟膏基剤に関する内容になります。

軟膏剤の場合

軟膏剤は、油分が多く含まれた外用薬である。皮膚に塗布すると、薬物が皮膚に留まりやすく、長時間にわたって作用を持続させることができる。

特徴

  • 基剤: 油性の基剤(例:ワセリン、ラノリン、パラフィンなど)
  • 用途: 乾燥した皮膚や湿潤の少ない部位に適しています。湿疹、乾燥肌、裂傷の治療などに使用されます。
  • 性質:
    • 脂溶性が高く、皮膚に対して保湿作用が強い。
    • 皮膚に密着しやすいため、薬物の長時間の持続が可能。
    • 油分が多いため、べたつき感がある。

代表的な軟膏基剤

  • ワセリン: 油性基剤の代表格。高い保湿性があり、薬物を安定化させる。
  • ラノリン: 羊毛から得られる成分で、保湿性があり、皮膚に優しい。


クリーム剤の場合

クリーム剤は、水と油の両方を含んでいる乳化物で、軟膏剤よりもさらっとした質感を持っています。皮膚に塗布すると、すばやく吸収され、べたつきが少ないのが特徴です。

特徴

  • 基剤: 水と油の混合物(乳化剤を使用した水性・油性乳化物)
  • 用途: 油分をあまり必要としない部位や、皮膚が湿潤した部位に適しています。例えば、炎症やかゆみを伴う皮膚疾患に使用されます。
  • 性質:
    • 軟膏剤よりも軽い使用感で、べたつかず、使用後の皮膚がサラサラしている。
    • 薬物の吸収が速く、長時間の持続性は軟膏剤に比べてやや劣るが、使用感が快適。
    • 乾燥した肌には保湿効果があり、湿疹や炎症などに有効。

代表的なクリーム基剤

  • 水と油の乳化物(例:ミリスチン酸イソプロピル、セタノール、ステアリン酸グリセリルなど)
  • 乳化ワセリン: ワセリンと水分を乳化させた製剤。適度な保湿と吸収性。


ゲル剤の場合

ゲル剤は、薬物を含むゲル状の基剤で、透明または半透明で粘度が高いのが特徴です。水分を多く含んでおり、べたつかず、皮膚に塗布した後にさっぱりとした使用感があります。

特徴

  • 基剤: 水分が多いが、ゲル状に安定化させるために増粘剤(例:カルボマー、ヒドロキシエチルセルロースなど)が使用されます。
  • 用途: 湿疹やかぶれのある部位、広範囲に塗布する必要がある場合に適しています。また、皮膚が脂っぽくない場合に使用されます。
  • 性質:
    • さっぱりとした使用感で、べたつかず、皮膚にすばやく吸収される。
    • 薬物の持続性は軟膏剤より短い場合があるが、さっぱりとした感触が好まれる。
    • 保湿性は軟膏剤に比べると低いが、皮膚に適度な湿潤感を与える。

代表的なゲル基剤

  • カルボマーゲル: 高分子のカルボマーを水に溶かして増粘した基剤。
  • ヒドロキシエチルセルロースゲル: セルロース誘導体で増粘されたゲル基剤。
  • シリコーンゲル: シリコーンオイルを基にしたゲルで、さらっとした使用感を持つ。


まとめ

軟膏剤: 油分が多く、長時間の作用が必要な部位に適しており、乾燥肌に対して非常に有効。べたつきが特徴。

クリーム剤: 水と油の乳化物で、軽い使用感でべたつきが少なく、広範囲に使用できるため、湿疹やかゆみなどに適している。

ゲル剤: さっぱりとした使用感でべたつきがなく、湿疹やかぶれに適しており、皮膚に素早く吸収される。

それぞれの基剤は、薬物の使用目的や皮膚の状態に応じて選択されることが重要である。

演習

1.次のうち、軟膏剤に関する記述として正しいものをすべて選びなさい。

  1. 軟膏剤は油分が多いため、乾燥した皮膚に高い保湿効果を発揮する。
  2. 軟膏剤は、使用後すぐに皮膚に吸収され、べたつき感がほとんどない。
  3. 軟膏剤は、薬物を長時間皮膚に留めることができるため、持続的な薬物作用を期待できる。
  4. 軟膏剤は、水分を多く含む基剤であり、使用後にさっぱりとした感触が残る。

2.ワセリンが軟膏基剤として使用される理由として、最も適切なものを選びなさい。

  1. ワセリンは水分を多く含んでいるため、保湿効果が高い。
  2. ワセリンは油分が多く、薬物を長時間皮膚に留めることができる。
  3. ワセリンは、薬物の吸収を促進する作用がある。
  4. ワセリンは、ゲル状の基剤として皮膚に素早く吸収される。

3.次のうち、軟膏剤が最も適しているのはどのような場合か選びなさい。

  1. 皮膚が湿潤しており、べたつきを避けたい場合。
  2. 乾燥した皮膚に保湿効果を与え、薬物を長時間作用させたい場合。
  3. 皮膚が非常に敏感で、軽い使用感を求める場合。
  4. 皮膚に塗布した後、すぐに吸収されることが必要な場合。

4.次の基剤のうち、軟膏剤として最も一般的に使用されるものを選びなさい。

  1. 水と油の乳化物
  2. ワセリンやラノリンなどの油性基剤
  3. 高分子の増粘剤を含むゲル基剤
  4. 乳化剤を多く含むクリーム基剤

5.軟膏剤の使用におけるデメリットとして、最も適切なものを選びなさい。

 1.油分が少ないため、皮膚にしっかりと密着せず、効果が持続しない。
 2.使用後にべたつき感が残り、衣服に付着する可能性がある。
 3.使用後、すぐに皮膚に吸収されてしまい、効果が短時間で消える。
 4.他の基剤に比べて、肌に優しくないため、敏感肌には向かない。

6.ゲル剤に関して、次の記述のうち正しいものをすべて選びなさい。

  1. ゲル剤は水分を多く含み、べたつき感が少ないため、使用感がさっぱりしている。
  2. ゲル剤は保湿効果が高く、乾燥肌に特に適している。
  3. ゲル剤は増粘剤を使用して粘度が高く、皮膚に素早く吸収される。
  4. ゲル剤は油分を多く含んでいるため、湿潤を維持し、長時間の薬物作用を持つ。

7.クリーム剤の基剤に関して、以下の説明のうち最も適切なものを選びなさい。

 1.クリーム剤は、油分が多いため、湿疹や炎症の治療には向かない。
 2.クリーム剤は主に油分を多く含むため、乾燥した皮膚に効果的である。
 3.クリーム剤は水と油を乳化させた基剤で、皮膚に塗布後にべたつかず、すぐに吸収される。
 4.クリーム剤はゲル剤に比べて粘度が低く、さっぱりとした使用感を与える。




(解答)

問題1

正解:1, 3

    1. 正しい:軟膏剤は油分が多いため、乾燥した皮膚に高い保湿効果を発揮します。
    1. 誤り:軟膏剤は油分が多いため、使用後にべたつき感が残ることが特徴です。
    1. 正しい:軟膏剤は薬物を長時間皮膚に留めることができるため、持続的な薬物作用を期待できます。
    1. 誤り:軟膏剤は水分が少ないため、さっぱりとした感触が残ることはありません。

問題2
正解:2

    1. 誤り:ワセリンは水分を含まず、油分が多いため、保湿効果はありますが、水分を多く含むわけではありません。
    1. 正しい:ワセリンは油分が多く、薬物を長時間皮膚に留めることができるため、持続的な薬物作用を期待できます。
    1. 誤り:ワセリンは薬物の吸収を促進するわけではなく、むしろ薬物の蒸発や流出を防ぐ役割を持ちます。
    1. 誤り:ワセリンはゲル状の基剤ではなく、油性基剤です。

問題3
正解:2

    1. 誤り:湿潤部位にはクリーム剤やゲル剤が適しており、軟膏剤は乾燥部位に適しています。
    1. 正しい:軟膏剤は乾燥した皮膚に対して高い保湿効果を発揮し、薬物を長時間皮膚に留めることができます。
    1. 誤り:敏感肌にはクリーム剤やゲル剤の方が軽い使用感があり、適しています。
    1. 誤り:軟膏剤は吸収が遅く、べたつきが残ることがあります。

問題4
正解:2

    1. 誤り:水と油の乳化物はクリーム基剤に該当します。
    1. 正しい:ワセリンやラノリンなどの油性基剤は軟膏基剤として広く使用されています。
    1. 誤り:高分子の増粘剤を含むゲル基剤は軟膏剤ではなく、ゲル剤に該当します。
    1. 誤り:乳化剤を多く含む基剤はクリーム基剤です。

問題5
正解:2

    1. 誤り:軟膏剤は油分が多く、皮膚にしっかりと密着し、効果が持続します。
    1. 正しい:軟膏剤はべたつきが強く、衣服に付着する可能性があるため、デメリットとして挙げられます。
    1. 誤り:軟膏剤は吸収が遅く、持続的に効果があることが特徴です。
    1. 誤り:軟膏剤は皮膚に優しく、乾燥肌にはむしろ適しています。

問題6:

記述:

  1. ゲル剤は水分を多く含み、べたつき感が少ないため、使用感がさっぱりしている。
  2. ゲル剤は保湿効果が高く、乾燥肌に特に適している。
  3. ゲル剤は増粘剤を使用して粘度が高く、皮膚に素早く吸収される。
  4. ゲル剤は油分を多く含んでいるため、湿潤を維持し、長時間の薬物作用を持つ。

解説:

  • 1. 正しい:ゲル剤は通常、水分を多く含んでおり、べたつき感が少なく、使用後の感触がさっぱりしています。水分を多く含んでいるため、軽い使用感が特徴です。
  • 2. 誤り:ゲル剤は水分が多いですが、その主な目的は保湿効果というよりは、水分の供給と、使用後のさっぱり感を提供することです。乾燥肌には、軟膏剤やクリーム剤の方がより効果的です。
  • 3. 正しい:ゲル剤は増粘剤を使用して粘度を高めています。このため、皮膚に塗布した後は素早く吸収され、べたつき感を抑えることができます。増粘剤によって、ジェル状の粘度が保たれることが特徴です。
  • 4. 誤り:ゲル剤は水分が多く、油分が少ないため、湿潤を維持して長時間薬物を作用させることは得意ではありません。油分が多い軟膏剤やクリーム剤の方が湿潤作用を維持しやすいです。

問題7
記述:

  1. クリーム剤は主に油分を多く含むため、乾燥した皮膚に効果的である。
  2. クリーム剤は水と油を乳化させた基剤で、皮膚に塗布後にべたつかず、すぐに吸収される。
  3. クリーム剤はゲル剤に比べて粘度が低く、さっぱりとした使用感を与える。
  4. クリーム剤は、油分が多いため、湿疹や炎症の治療には向かない。

解説:

4. 誤り:クリーム剤は水と油を乳化させた基剤であり、湿疹や炎症の治療にも適しています。油分が少なく、軽い使用感のため、湿疹や炎症がある部位に使いやすいです。

1. 誤り:クリーム剤は水と油を乳化させた基剤であり、油分が多いわけではありません。乾燥した皮膚には、油分が豊富な軟膏剤やワセリンがより効果的です。

2. 正しい:クリーム剤は水と油の乳化物です。そのため、皮膚に塗布した後にべたつき感が少なく、すぐに吸収される特性があります。クリームは軽い感触で、使用後のべたつきが少なくなります。

3. 正しい:クリーム剤はゲル剤に比べて粘度が低いため、使用感がさっぱりしています。ゲル剤はより粘度が高く、肌に塗布したときにしっかりとした感触を与えることが特徴です。



参考資料
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投稿者 takapi

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